生徒の弱さは、正解を出す力ではなく、問いを持つ力にあります。推測する力(アブダクション)を、3年間・6ステップで育てます。
探究の場面でよく見られる弱さは、仮説ではなく、事実や一般論を書いてしまうことです。たとえば「初対面で仲良くなるには、最初に動いた方がいい」は、調べれば出てくるし、全員がうなずくので、フィールドワークの必要がありません。
仮説が正しければ、何が見えるはずかを考える段階。
フィールドワークはこの段階。
新しい考えを持ち込めるのは、この推論だけ(C.S.パース)。
いまの問いを ver.0 として育てるのが軸です。ver.0 → ver.1 → ver.2 → 仮説と、問いの進化ログを書き足していきます。
外(事実とのズレ)と内(自分たちの動機)の「あれ?」。「問い」という言葉は使わず、「あれ?」を拾う。
要素を出しきる。What If で揺さぶる(マインドマップ)。
「何のため?」で目的を登り、手段と目的を切り分ける。登りすぎない(自分たちで確かめられる高さまで)。
誰の・どの場面かに絞る。
「もし〜なら、説明がつく」の形に。一般論になっていないかを点検する。
正しければ何が見えるはずか。前提を点検する。予想とズレたら、それが新しい「あれ?」としてステップ1に戻る。
| 学年 | ねらい | 主なステップ | 現場での確かめ |
|---|---|---|---|
| 1年 | 違和感を拾い、広げる。観察の習慣をつくる | 1〜2 | 観察と聞き取り(小さく) |
| 2年 | 仮説を立て、現場で確かめる | 3〜6 | フィールドワーク(帰納)。外部の大人の講評 |
| 3年 | 他人の問いをずらせる側になる。成果を外に出す | 全体を回す+壁打ち役 | 地域・全国・海外への発表 |
朝の輪で1つ出し、観察ノートに残す。
地域の売上・観光客数・人の流れから「説明がつく仮説を3つ」。
売れない特産品の原因、閑散期の理由を、地域の実データで。
手段が目的になっていないか。入口ではなく、途中で本人が気づく形で。
出典・入力した指示・日付を記録する。


アブダクションのルーブリック(案)。ポートフォリオの問いの進化ログに記入します。
| 観点 | 1(入口) | 2 | 3(めざす姿) |
|---|---|---|---|
| 一般論でないか | 調べれば出る事実・一般論 | 誰の・どの場面かが限定されている | 限定され、予想外の見方を含む |
| 反論できるか | 反論が思いつかない | 反論を1つ想定している | 反論を想定し、それに答える確かめ方がある |
| 確かめ方があるか | なし | 方法はあるが目的に合わない | 目的に合い、相手の負担(探究公害)も考えている |
| ずらしの質 | ずらしていない | 1回ずらした | ずらして差分を比べ、気づきを言える |
9つの型は、「パラメータを操作する」「ピントを調整する」「主役を入れ替える」「思考の殻を破る」の4グループに分かれます。ずらしは1回で終えず、「ずらす → 差分 → 気づき」の連鎖にします(例:10年前 → 今 → 10年後)。
| 6ステップ | 1 拾う | 2 広げる | 3 登る | 4 絞る | 5〜6 仮説・確かめ |
|---|---|---|---|---|---|
| よく使う型 | 立場 | 対象・時間軸・場所 | 抽象度 | スケール・対象 | 極端・前提・数字 |
朝の輪とスタジオの中間講評で、生徒同士・生徒と大人が壁打ちをします。生徒は地域の事業者に「業界の外にいるから聞ける問い」を立てます。先に国内外の事例を調べて全体像をつかみ、壁打ちの中でデータを足し引きして新しい案を出します。
全員が現場に行く必要はありません。行くなら目的を持つ。判断の軸は、問いのどの段階か、現場でしか得られない情報か、相手にどれだけ負担がかかるか、の3つです。
地域の特産品を題材に、調べて、発信して、実際に届け、数字で振り返る2週間。「東京の真似をしない」視点で、その事業の価値を言葉にします。
特産品をつくる事業者を、公開情報で調べる。
少人数で観察・インタビュー。質問は事前に共有。
東京の真似をせず、その事業ならではの価値を。
SNS、パッケージ案、多言語ページ。
EC、マルシェ、ふるさと納税の返礼品ページの改善提案。
反応・売上・リーチ。
事業者と外部の大人に向けて発表する。
五島列島には約900万本の椿が自生し、日本一とされる。実の豊作・凶作の差が大きく販路を広げにくい、梅雨前に搾油を終える必要がある、が課題とされる(特区計画書。古い資料のため現状は要確認)。
設備を入れて通販・島外販売に対応した事業者、空き店舗を改修して観光客向けの店を開いた事業者が、県の事例として紹介されている。
陶磁器、菓子など。今後の調査対象として加える。


| 日 | 内容 |
|---|---|
| 1 | ブロックのワークで「椿の価値」を形にして語る。「あれ?」を3つ(ステップ1) |
| 2〜3 | 椿の生産・加工・販路の公開資料を調べる。広げる・登る(ステップ2〜3) |
| 4 | 事業者への取材(生徒2〜4名、質問は事前共有、1回60分以内)。絞る(ステップ4) |
| 5 | 「もし〜なら、説明がつく」で仮説を立てる。AIに別の説明を3つ出させ、確かめる順を決める |
| 6〜7 | 発信の企画:多言語の紹介ページ、パッケージ案、SNS投稿案 |
| 8 | 事業者の承諾を得た範囲で試す(マルシェでの試食・アンケート、オンラインでの反応測定) |
| 9 | 数字で振り返る。予想とのズレを新しい「あれ?」にする |
| 10 | 事業者と外部の大人に公開講評 |
通販・島外販売と観光客向け飲食の2つの事例を比べ、届ける相手(観光客・島民・島外の購入者)によって説明が変わることを体験する。英語・中国語の案内づくりを含む。
企業から実際の課題を受け、高校生に届く言葉・場・価格を調べ、試作と反応の測定まで行う。
言葉にしにくい考えを、手を動かして形にし、話す時間。チームづくり、島での3週間、スタジオの初日に使います。各60〜90分。

気になった場面をブロックで作る → 1人2分で語る → 聞き手は「それはどういうこと?」だけを聞く。
島の課題(例:空き家)を作る → 住民・観光客・行政・事業者の立場で作り直す → 差分から気づきを言う。
特産品の「価値」を作る → 他のチームが読み解く → 読み違いを手がかりに言葉をそろえる。
関わる相手ごとに、生徒が得るもの・相手が得るもの・負担の上限を決めておきます。大学名は椿の特区計画書に研究機関として出てくるもので、連携の約束があるわけではありません。
| タイプ | 生徒が得るもの | 相手が得るもの | 関わり方 | 負担の上限(案) |
|---|---|---|---|---|
| 地場メーカー・農漁業者 | 実課題、現場、事業の数字 | 若い視点の調査、多言語発信、採用の入口 | 課題提供、取材、講評 | 取材は1回60分以内・年2回まで |
| 自治体(長崎市・五島市) | 地域データ、政策の現場 | 若者の提案、関係人口 | 提案の場、データ提供 | 提案は年1〜2回 |
| 観光・宿泊 | 観光客の声、多言語案内の実践 | 多言語の案内・SNS | 試験的な発信、アンケート | 実施日を事前に調整 |
| 大学(長崎大学、長崎県立大学など) | 研究者の講評、手法 | 学生との接点、実証の場 | 講評者、研究の相談 | 連携の可否は未確認 |
| 移住者・地域おこし協力隊 | 外から来た人の視点 | 発信の機会 | 語り手、同行者 | 1回90分以内 |
| 金融機関 | お金の流れ、事業計画 | 若者との接点、創業の芽 | 講師、講評 | 年数回 |
| メディア | 発信の実践 | 取材対象 | 成果の公開、取材 | 生徒の事前同意 |
オンラインで週に組み込み、将来は年1回程度の現地訪問も。相手校・相手先は未定で、いまは「機会を設ける」ことだけを決めています。
単発。必ずスタッフが同席する。
スタジオの最終日。事前に説明する。
スタジオやクルーで継続して関わる。
| 時期 | 機会 | 対象 | 出す成果 |
|---|---|---|---|
| 学期末(年3回) | 公開展示(長崎・五島) | 地域、保護者、事業者 | その学期のスタジオの成果 |
| 通年 | 事業者への成果物の納品 | 取材先の事業者 | 多言語ページ、提案 |
| 通年 | マルシェ・物産展での販売実験 | 一般の来場者 | Branding & Marketing スタジオ |
| 年1〜2回 | 自治体への提案(長崎市、五島市) | 職員、議員 | 2〜3年の探究 |
| 秋 | 全国の高校生向けコンテストへの応募 | 全国 | 2年の探究、ビジネスプラン |
| 通年 | 英語での発表 | 海外 | 3年の成果 |
| 通年 | 生徒が運営する発信(note、YouTube、Instagram) | 一般 | 全学年 |
高校生ビジネスプラン・グランプリ、全国高校生マイプロジェクトアワードとも、通信制・サポート校の在籍者が対象になるかは要項や記事に書かれていません。出られない場合は、提携本校の生徒として応募できるか本校に相談します。
AIチューターは解説・問題づくり・誤りの指摘に使う。本校のレポートをAIに書かせて提出しない。
下調べ、壁打ち、多言語化、データの可視化、試作。答えは現場で確かめるまで「仮説の候補」。
ポートフォリオの整理や連絡の下書きに使い、最後は人が判断する。AIで減らせる人数は財務モデルに見込まない。
年齢条件、教育機関向けプランの有無、入力を学習に使わない設定があるかを導入前に確認。個人情報は原則入力しない。